秋田県 社会保険労務士法人FINE

経営者と従業員が満足できる職場創り、企業の労務改善なら

社会保険労務士法人 FINE

【医療機関向け】ベースアップ評価料届出の流れ|賃上げ額の集計と注意点を解説

【医療機関向け】ベースアップ評価料届出の流れ|賃上げ額の集計と注意点を解説

「ベースアップ評価料の届出を検討しているが、自院がどの区分に該当するのか分からない」「病院全体の賃上げ額を集計する作業が複雑で進まない」といったお悩みを持つ事務長様や人事労務担当者様は多いのではないでしょうか。

2024年度(令和6年度)の診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」は、医療従事者の処遇改善を目的とした画期的な制度です。しかし、小規模なクリニックから大規模な病院まで、その算定には緻密な集計作業と、届出が求められます。

本記事では、社会保険労務士の専門的知見から、医療機関がベースアップ評価料の届出を円滑に進めるためのステップや、賃上げ額を集計する際の重要ポイントを分かりやすく解説します。

1.医療機関が押さえるべき「ベースアップ評価料」の種類と仕組み

ベースアップ評価料は、対象となる医療機関の形態によって主に以下の区分に分かれています。まずは自院がどの点数を算定すべきかを正しく把握することが第一歩です。

 

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)

 外来医療または在宅医療を実施している医療機関が対象です。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)

 (Ⅰ)で算定できる総額が、対象職員の月額賃金総額の1.6%未満となる場合に追加で算定できます。

 ※歯科も同様に歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)の算定が可能です。

入院ベースアップ評価料

 入院診療を実施している有床診療所や病院が対象です。

 ※外来・在宅の(Ⅱ)と両方の算定はできません。

訪問看護ベースアップ評価料 (Ⅰ)

 訪問看護を行っている事業所が対象です。

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)

 (Ⅰ)で算定できる総額が、対象職員の月額賃金総額の1.6%未満となる場合に追加で算定できます。

調剤ベースアップ評価料

 調剤を行っている保険薬局が対象です。

 

この制度の最大の特徴は、算定した収益の全額を対象職員の「賃上げ」に充てなければならない点です。そのため、事前に正確な賃上げシミュレーションと集計を行うことが、届出の前提条件となります。

 

2.ベースアップ評価料届出に向けた「集計」と準備の4ステップ

実際に届出を行うまでには、大きく分けて4つのプロセスがあります。特に規模の大きな医療機関ほど、データの集計に時間がかかる傾向があります。

ステップ1:対象職種の抽出と現在の給与額の集計

まずは、ベースアップ評価料の対象となる職員を正確にリストアップします。

  • 対象となる主な職種: 看護師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、医療事務、受付など。

  • 対象外となる職種: 医師、歯科医師、薬局薬剤師

    ※原則として対象外ですが、40歳未満の勤務医等、特例がある場合があります。

    ※経営者、法人役員、業務委託により勤務する方も対象外となります。

ステップ2:届出書の作成とシミュレーション

届出の様式に従って対象職員全員の給与データ、直近の診療回数等必要な情報を入力して集計します。各数値を入力することで(Ⅱ)に該当するかどうかも確認できます。


「現在の給与総額に対して、評価料として入ってくる収益で何円の賃上げが可能か」を算出します。この際、基本給を上げるのか、あるいは新設の手当で対応するのかといった具体的な配分案を固めます。

ステップ3:地方厚生局への届出書の提出

ステップ2で作成した届出書を、管轄の地方厚生局へ届出を行います。都道府県ごと専用のメールアドレスへ送信します。

ステップ4:就業規則(賃金規定)の改定

賃上げを実施する場合、それは労働条件の変更に該当します。ベースアップ評価料による給与引き上げを反映させるため、就業規則や賃金規定の変更手続きを併せて行います。

3. 実務で迷いやすい「賃上げ」設計のポイント

制度を適切に運用し、スタッフのモチベーション向上に繋げるためには、設計段階での工夫が必要です。

 「ベースアップ」を基本とした給与設計

本制度は「ベースアップ(基本給の底上げ)」を主眼に置いています。
一時金(賞与)としての支給も一部認められるケースがありますが、原則としては毎月の基本給や定期的に支払われる手当(ベースアップ評価料手当など)での引き上げが望ましいとされています。

  • メリット: 残業代や休日手当の算出基礎額も上がるため、スタッフにとっては実質的な増額幅が大きくなります。

  • 注意点: 社会保険料の事業主負担分も増加するため、これらを含めた精緻な集計が必要です。

【事例】スタッフ50名規模の病院(医療法人)の場合

ある医療法人では、複数のコメディカル職種が在籍しており、職種ごとに給与体系が異なっていました。
そこで社労士のアドバイスのもと、全職種共通の「ベースアップ評価料手当」を新設。対象職員の労働時間に応じて按分する仕組みを導入したことで、複雑な集計業務を簡略化し、透明性の高い賃上げを実現しました。


4. 届出後の運用と毎年の「実績報告」について

届出が受理され、算定が始まったらゴールではありません。

医療機関は、毎年度「実際にいくら賃上げを行ったか」を報告する実績報告書を提出する義務があります。もし、算定した金額が賃上げに適切に充てられていないと判断された場合、評価料の返還を求められるリスクもあります。

日々の給与計算において、ベースアップ評価料相当分を明確に区別して管理し、次年度の報告に向けたデータの集計を継続的に行うことが不可欠です。


5. まとめ:専門家と共に確実な届出と労務管理を

ベースアップ評価料の導入は、医療従事者の確保と定着(リテンション)において非常に強力な武器となります。しかし、その裏側にある集計作業や、労働法規に則った届出、就業規則の整備は、現場の担当者様にとって大きな負担となることも事実です。

当法人では、医療機関特有の複雑な労務管理に精通した社会保険労務士が、ベースアップ評価料の算定シミュレーションから、厚生局への届出、賃金規定の整備までトータルでサポートしております。

「自院で正確な集計ができるか不安」「届出の期限が迫っている」という事務長様・担当者様は、ぜひお気軽に当法人までご相談ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 派遣スタッフや委託先の職員も賃上げの対象になりますか?

A1. 直接雇用の職員が原則ですが、特例があります。
基本的には医療機関が直接雇用している職員が対象です。ただし、派遣スタッフや出向などによるスタッフは対象にできます。賃金への上乗せは派遣元か出向元へご相談いただき、適切に当該スタッフに支払われるようにしてください。なお、業務委託は対象外です。正確な判断には個別の確認が必要です。

Q2. 複数の分院がある場合、集計や届出はまとめて行えますか?

A2. 原則として施設(保険機関番号)単位での届出が必要です。
医療法人として一括して計画を立てる場合でも、届出自体は各施設を管轄する厚生局に対して、施設ごとに行うのが基本ルールです。ただし、作成する計画書の内容を法人内で統一し、事務作業を効率化することは可能です。

Q3. 集計ツールで算出した賃上げ額が、端数などで収益を超えてしまう場合は?

A3. 算定収益を上回る賃上げを行う分には問題ありません(持ち出しとなります)。
逆に、算定した収益を下回る賃上げしか行わないことは認められません。そのため、少し余裕を持った賃上げ設計にするか、法定福利費(社会保険料の会社負担分)を含めた集計を行い、収益を使い切るような計画を立てるのが一般的です。

初回無料相談受付中!

まずはご相談ください。
初回無料の個別相談を実施しております。

お問い合わせフォームに「相談したい内容」をご入力して送信してください。担当者よりご連絡させていただきます。

【訪問可能エリア】

秋田県内全域(秋田市、能代市、横手市、大館市、男鹿市、湯沢市、鹿角市、由利本荘市、潟上市、大仙市、北秋田市、にかほ市、仙北市、小坂町、上小阿仁村、藤里町、三種町、八峰町、五城目町、八郎潟町、井川町、大潟村、美郷町、羽後町、東成瀬村)

【オンライン相談(Zoom、チャットなど)】

全国各地どこでもOK

※本コラムの内容は作成時点の情報に基づいています。制度の詳細や最新情報については、厚生労働省のホームページをご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。

目次

サービス案内

社会保険労務士法人FINEがご提供できるサービス一覧
詳細は各項目をクリックしてご確認ください。

労務監査

自己都合退職の多くは「労務の問題」が理由です。厚労省の統計によると、会社の将来性など変えにくい要因を除けば、能力や実績が正当に評価されないこと、賃金が低いこと、労働条件が悪いことが主な理由となっています。労務監査であなたの企業の健康診断をしませんか?
詳細はこちら

助成金

よく聞くお声として「うちが助成金をもらえるなんて知らなかった・・・」
多くの助成金が業種を問わずご活用いただけます。
そして、助成金は、自発的に申請しないともらえません!まずは自社で受給できる助成金がないかご相談ください。
詳細はこちら

就業規則

最新の法改正に対応した就業規則を作成します。従業員の増加や是正勧告への対応、過去や将来のトラブル対策、古い規則の見直しなど、さまざまなニーズにお応えします。新規作成から改訂までお気軽にご相談ください。
詳細はこちら

従業員の
定着・採用

採用定着でお困りではありませんか?「応募が集まらない」「採用した人がすぐ辞める」「信頼していた管理職の退職」「忙しくて採用や教育に時間が割けない」などの課題に人事のプロが対応します。
詳細はこちら

社会保険
労働保険
手続き

社会保険手続きを外部に依頼すれば、労務負担を軽減しコスト削減にもつながります。担当者が退職して手続きができない、出産や育児関連の煩雑な手続きを任せたい方におすすめのサービスです。本業に集中したい方はぜひご検討ください。
詳細はこちら

特別加入

労災保険は、労働者が業務や通勤中に事故や病気に遭った際に給付される制度です。通常、事業主は対象外ですが、労働者と同様の業務を行う事業主は対象になる場合があります。お悩みの方は労務の専門家である当事務所にご相談ください。
詳細はこちら

人事評価制度

従業員の定着や採用に苦労している、現場を離れられないほど人材育成が進まない、過去に導入した人事評価制度が運用できていないといった課題をお持ちではありませんか?当事務所は「人事評価制度の導入」と「運用サポート」を通じて、これらのお悩みを解決し、企業の成長をサポートします。
詳細はこちら

給与計算
有給管理
ソフト

煩雑な給与計算業務を専門家に任せて、リスクやコストを削減できます。給与計算ミスの削減や外注希望、有給管理の未対応、勤怠管理のクラウド化、正確な計算チェックができていないといった課題を解決し、効率的で正確な給与運用をサポートします。
詳細はこちら

障害年金

障害年金の申請では、ちょっとした違いが不支給や等級の低下につながることがあります。申請後では取り返しがつかないこともあるため、最初の申請が非常に重要です。失敗して後悔しないためにも、早い段階での相談をお勧めします。秋田・山形・岩手・青森に特化した障害年金申請サポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。
詳細はこちら
お問い合わせはこちら
お電話での
お問い合わせ

018-853-5005

(平日) 9:00〜17:00

メールでの
お問い合わせ
Chatworkでの
お問い合わせ
公式LINEで助成金や
人事労務情報を発信!