令和9年度障害福祉報酬改定で児発・放デイはどう変わる?国が示す「質重視」の方向性
令和9年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、児童発達支援・放課後等デイサービスの「支援の質」が重要な論点となっています。
2026年10月5日に開催された第65回「障害福祉報酬改定検討チーム」では、人材の配置だけでなく、事業所全体として質の高い支援を提供できる体制をどう評価するかが議論されました。
現時点で具体的な報酬単位や算定要件は決まっていません。しかし、今後の人材配置や事業所運営を考えるうえで、押さえておきたい方向性が示されています。
本記事では、第65回の資料をもとに、児発・放デイの経営者が注目したいポイントを整理します。
(▶参照資料:厚生労働省)
目次
児発・放デイの拡大と「支援の質」という課題
児童発達支援・放課後等デイサービスは、この十数年で事業所数・利用者数ともに増加してきました。
令和8年4月時点では、児童発達支援全体の事業所数は14,551か所、利用者数は165,210人となっています。
背景には、発達支援を必要とするこどもや家族が、地域で必要なサービスにつながれるよう、支援の受け皿が広がってきたことがあります。
一方、サービスが広がれば、「利用できる場所があるか」だけではなく、そこでどのような支援が提供されているのかにも目を向ける段階に入っています。
第65回の資料でも、「質の高い発達支援の提供の推進」が論点の一つとして掲げられました。ただし、国が事業所数の削減や新規開設の抑制を打ち出したわけではありません。
今回の議論からは、支援の場を広げることに加え、その中身をどう高め、評価するかが重視されつつあると読み取れます。
「支援の質」を支える人材育成も全国共通へ
支援の質を高める取り組みとして、国が進めようとしているのが、障害児支援に携わる人材の研修体系の整備です。
第65回資料では、次の研修を順次導入する予定が示されています。
- 令和9年度: 基礎・実践研修
- 令和10年度: リーダー研修
- 令和11年度: コア人材研修
目指しているのは、全国どの地域でも質の高い障害児支援を提供できるよう、人材育成の仕組みを整えることです。
これまでの経験や個人の力量だけに頼るのではなく、職員が継続的に学び、支援力を高められる体制づくりが重視されています。
経営者にとっても、資格者の確保だけでなく、今いる職員をどのように育成し、その専門性を日々の支援に生かすかが重要な視点となりそうです。
加配加算・専門的支援体制加算はどう変わる?
今回の議論で、経営者が特に注目したいのが、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算の見直しです。
令和8年3月時点の算定率は、次のとおりです。
| 加算 | 児童発達支援 | 放課後等デイサービス |
| 児童指導員等加配加算 | 84.7% | 91.6% |
| 専門的支援体制加算 | 52.5% | 46.7% |
児童指導員等加配加算は、多くの事業所が算定している状況です。
第65回資料では、算定事業所が非常に多く、支援をさらに強化するためのインセンティブとして十分に機能していないとの指摘が紹介されています。
そこで検討されているのが、現行の2つの加算を整理・統合し、支援ニーズに応じた事業所全体の支援体制を総合的に評価する仕組みです。
評価の視点としては、専門人材や経験のある職員の配置に加え、チームによる協働、専門性の活用、支援ニーズの高いこどもの受入れ体制などが示されています。
つまり、「どのような職員を配置しているか」だけでなく、「その人材を組織としてどう生かしているか」も重視する方向です。
なお、現時点で2つの加算の廃止や統合が正式決定したわけではありません。 今後の議論を確認する必要があります。
経営者が押さえておきたいのは「事業所全体の支援力」
今回の議論から、今後の事業所運営で意識しておきたいのは、個々の職員の専門性を組織全体の支援につなげることです。
例えば、専門職を配置していても、その知識や経験が本人だけにとどまっているのか、ケース会議や日々の支援を通じて他の職員にも共有されているのかでは、事業所としての支援力は異なります。
児童発達支援管理責任者についても、一人で支援計画や判断を抱え込むのではなく、職員間で情報を共有し、チームとして支援を行うことが大切です。
今回の議論を踏まえると、経営者が注目したいのは次のような点です。
- 専門職の知識や経験を職員間で共有できているか
- 職員が継続的に学べる仕組みがあるか
- 多職種が連携して支援できているか
- こどもの支援ニーズに応じた受入れ体制が整っているか
これらがそのまま新たな算定要件になると決まったわけではありません。
しかし、人材の配置だけでなく、その人材が事業所全体の支援の中でどう機能しているかという視点は、今後の報酬改定を考えるうえで重要になりそうです。
まとめ|加算の変更だけでなく、評価の方向性に注目
令和9年度報酬改定に向けた今回の議論では、児発・放デイの支援の質をどう高め、評価するかが重要なテーマとなっています。
特に注目したいのは、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算の見直しです。
具体的な報酬単位や算定要件は未確定ですが、専門人材の配置だけでなく、チーム支援や人材育成、支援ニーズに応じた事業所全体の体制を評価する方向が検討されています。
経営者にとっては、個別の加算がどう変わるかに加え、国がどのような支援体制を評価しようとしているのかを把握しておくことが大切です。
実際に今から何を準備すべきかは、『児発・放デイ経営者が令和9年度報酬改定に向けて今から準備すべきこと』で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1.国は児発・放デイの事業所数を減らそうとしているのでしょうか?
A. 現時点で、事業所数を減らすことや新規開設を抑制する方針が第65回資料で示されたわけではありません。
一方、事業所数や利用者数が増える中、「質の高い発達支援の提供」が改定に向けた重要な論点となっています。今後は、サービスの量だけでなく、提供される支援の中身にもより目が向けられると考えられます。
Q2.児童指導員等加配加算や専門的支援体制加算はなくなるのでしょうか?
A.現時点で廃止が決定しているわけではありません。
第65回では、現在の2つの加算を整理・統合し、事業所全体の支援体制を総合的に評価する仕組みが検討されています。正式な内容については、今後の検討を確認する必要があります。
Q3.「質重視」になると、専門職を増やす必要がありますか?
A. 現時点で、今回の検討内容を理由に専門職を増員する必要があると決まったわけではありません。
第65回資料では、専門人材の配置だけでなく、経験のある職員の活用や多職種によるチーム支援、支援ニーズに応じた事業所全体の体制などを含めて評価する方向が検討されています。
そのため、「専門職を何人配置するか」だけではなく、今いる人材の専門性や経験をどのように支援へ生かしているかという視点が、今後より重要になる可能性があります。
参考資料
-
厚生労働省「第65回 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76565.html -
厚生労働省・こども家庭庁「障害児支援に係る報酬・基準について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001755910.pdf
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