超過勤務分を特定できない職務手当は
割増賃金に充当できない
| Q5-6 | 基本給のほか、職位によって職務手当が支給されていますが、時間外労働を行っても割増賃金が支払いされません。会社は、時間外労働の割増賃金は職務手当に含まれているといいます。職務手当のほかに時間外労働に対する割増賃金は支払ってもらえるのでしょうか。 |
| A | 労働基準法第37条第1項は、「使用者が、・・・労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と定めています。 ところで、ご質問は、残業代を職務手当のような定額にして支払うことが許されるかという趣旨かと思われます。この点については、残業代を固定額(定額)で支払うことは、実際の時間外労働等によって算出した割増賃金に相当する金額が支払われている限り、必ずしも違法ではないと解されます(関西ソニー販売事件 大阪地判昭63.10.26)ので、まったく許されないことではありません。 しかし、こうした定額払いの方法が適法とされるためには、割増賃金相当部分をそれ以外の賃金部分から明確に区別することができ、割増賃金相当部分と通常時間に対応する賃金によって計算した割増賃金とを比較対照できるような定め方がなされていなければなりません。そして、実際の残業時間に対する割増賃金が、あらかじめ割増賃金分として区分した額(見込み時間)を超えた場合には、その超えた時間に相当する割増賃金を、その都度(月ごとに清算し)支給する必要があります(国際情報産業事件 東京地判平3.8.27ほか)。 この基準に照らしてみると、単に「職務手当の中に時間外賃金相当額が含まれている」と主張するだけでは、時間外賃金相当額がどれほどになるのかも不明であり、これらによって労働基準法第37条の要求する最低額が支払われているのかどうか、検証するすべもありませんから、会社の主張は認められないことになりますし、職務手当を未払割増賃金の一部に充当することも許されないと思います。 なお、法第37条は強行規定ですから、たとえ労使合意の上で割増賃金を支払わない申し合わせをしても、法第37条に抵触するので無効です。 |
